旧白洲邸・武相荘
町田市能ヶ谷町にある、
旧白洲邸・武相荘(ぶあいそう)を見学しました。
白洲次郎、正子夫妻が、
この辺りにごく普通にあった農家を買い取り、
昭和18年から晩年まで暮らしていた住まいです。
すぐ隣はユニクロ、新興住宅地ですが、
一歩敷地内に入ると、そこは、
うっそうと茂る木立に囲まれる別世界でした。
長屋門をくぐり、敷石のアプローチを通って、
建物のエントランスへ向かう。
茅葺きの屋根と、漆喰の白い壁がとてもきれい。

入り口の引き戸を入ると、
白いタイル貼りの土間になっていて、
ここは、リビングのように使われていたようです。
昭和30年代から、温水を利用した、
床暖房になっているというから驚きです。
海外生活の長かった、
お二人だからこそ、ということなのでしょう。
邸内には、愛用されていた、花器などの器、
家具等々、骨董としての価値も高そうな生活用具が、
今は、秋をテーマとして展示されていて、
季節感あふれる、
お二人の静かな暮らしぶりが感じられます。
邸内の展示作品より
『無駄のある家』 白洲正子
現在は町田市になっているが、当時は鶴川村といい、
この辺にざらにあった、
極ふつうの農家である。
手放すくらいだからひどく荒れており、
それから三十年かけて、少しずつ直し、
今もまだ直し続けている。
もともと住居とはそうしたものなので、
これでいい、と満足するときはない。
綿密な計画を立てて、設計してみた所で、
住んでみれば何かと不自由なことが出て来る。
さりとてあまり便利に、ぬけ目なく作りすぎても、
人間が建築に左右されることになり、
生まれつきだらしのない私は、
そういう窮屈な生活が嫌いなのである。
俗にいわれるように、田の字に作ってある農家は、
その点都合がいい。
いくらでも自由がきくし、いじくり廻せる。
ひと口にいえば、自然の野山のように、
無駄が多いのである。
60年近く暮らしたこの家には、
本当の意味での住居の形があったという事なのでしょう。
ぼくは、常に、お客さんの満足する家づくりを第一に想い、
日々の、設計という仕事をしています。
お客さんといろいろなアイデアを出し合い、
細かなところまで考えながら、家をつくります。
それはそれで、間違っていることではないけれど、
上手に長く住みこなすという事を考えると、
過度につくりすぎない、
簡素で、自由な家づくりのありかたについて、
再認識させられたような気がします。
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